オリンパス機で天体写真(星の撮影)を撮る(8) YIMGによるダーク補正について

これも、勉強中なので、そのうち内容が変るかも?

ダーク補正

天文写真では一般的に、長時間露光したときにダーク補正というものを行います。これは、長時間露光ノイズだけを撮影した写真データ(ダークファイル)を用意して、撮った写真に現れる長時間露光ノイズだけを引いてノイズない写真を得る手法です。ダーク減算などともいいます。

ダーク補正は、原理上圧縮ノイズの無い、RAWファイル同士か、TIFF/BMPファイルなどで行わなければ、高品位には行えません。*1


 これを行うことのできるソフトはいくつか有りますが、私は今のところフリーソフトのYIMGを使用しています。有名なのはRAPで、商用ソフトとしては、アストロアーツのステライメージがあります。

 YIMGは、色味が変化するなど、欠点もいろいろあるのですが、今のところフリーで、E-30/E-620に対応したダーク補正のできる、ソフトはこれのみだと思います。

論より証拠で、データを示します。ただし、なかなか晴れないため、星の数などは無視して、ダークノイズの除去結果に注目してください。

共通データ E-510 ISO400 20s F8*2 中心部を1024x768で等倍切り出し

ダーク補正前 撮って出しJPEG


ダーク補正をかけてYIMGで現像したJPEG


ダーク補正をかけてYIMGで現像したBMPをNeatImageでノイズ処理

現状だと、YIMGでダーク補正を行う場合、手でいろいろデータを選択する必要があるので、その点に関して自動化など改良を試みる予定*3

ダーク画像の撮影方法

撮影と同じ設定(ISOと露出時間)でレンズキャップあるいは、ボディキャップなどで、撮像素子に光が当たらないようにして、撮影してください。

良質なダーク画像を得るためには、本撮影の後にすぐにダーク画像を撮影してください。しばらく時間を置いてからだと、撮像素子の温度が変化し、ノイズの出方が変化します。*4

 YIMGでは、4枚までのダーク画像の平均値を取って、それをダークフレームとして使用できますので、撮影直後に4枚以上連続して撮影するのがお勧めです。

 ちなみに、撮影したデータについても、連続撮影していると撮像素子が熱を持ってノイズが増えることがわかると思います。

*1:JPEGファイルは不可逆圧縮なので、圧縮ノイズによる影響が防げない

*2:都会だと光害のため残念ながら開放だと飽和する

*3:でも、多分半年ぐらいすぐ経ちそうですが・・・

*4:そう考えると、一枚ものなら基本的には長秒時ノイズリダクションが一番良いことになりますね。

オリンパス機で天体写真(星の撮影)を撮る(7) 比較明合成について

このあたりから後処理に入ってくるので、オリンパス機特有ってわけではありません。

比較明合成

私がこの手法を知ったときは、結構衝撃でした。また、その処理を行う簡単なプログラムを見つけたとき(さらにフリーで)は、大喜びで撮影を行ったものです。
これはどういった手法かというと、通常星の撮影を行うとき、シャッターを数分〜1時間とか開いて、星の軌跡を撮影します。しかしそうすると

  1. ノイズが増える
  2. デジカメでは実はそこまでバルブ撮影できない(数分〜長くて30分という機種が多い)
  3. 一瞬邪魔な光が映りこむことにより、写真全体がダメになってしまう。
  4. 背景と星を同時に写しこむことが困難(背景に露出を合わせる絞り込むことになり、暗い星まで写せない。星を重視すると背景が飛ぶ)

などといった問題点が発生します。
これをクリアーするのが比較明合成で、複数枚の画像から、輝度が高い部分を優先して写真を合成してくれます。こんな写真が簡単に作れます。

また、広角レンズで撮影すると、1分露光しても、星の大きさが小さいため星座の形が分かりにくいことがあります。そのばあいこの写真のように数枚を明合成して、星の形がわかりやすい写真にすることができます。

ただ、欠点もあり

  1. 星が途切れてしまうことがある。(被写体・カメラの設定・現像設定にもよります)
  2. シャッター回数が増えてしまう(60s単位で、3時間撮影すると180枚)シャッター寿命がちょっと心配。
  3. カメラ側の長秒時ノイズリダクションが使えない。

などといった欠点があります。

しかし、お手軽さなどを考えるとこの手法を使うメリットは大きいので、積極的に使うのが良いと思います。

個人的にお勧めな比較明合成ソフト(フリー)はこちらです。
http://www.itaime.com/itaime/kikuchi/index.html
処理速度は早いですし、操作も簡単(合成したい画像データを、ひとつのフォルダにまとめておいて、そのフォルダを指定するだけ)です。こんな有用なソフトを公開してくれている作者に感謝です!

ちゃんと合成するなら、マスクなどを使うべきなのでしょうが、今のところは上記のソフトで合成するだけで満足しています。

オリンパス機で天体写真(星の撮影)を撮る(6) 道具について

撮影についてはそろそろ、ネタ切れ気味なので、補足的に

ミニ三脚

三脚は、詳しい人に聞くとゴツイの買っとけとかとか言われます。が、山とかに持っていくのを考えると、そんなにごついのは持っていけないので、私はこのあたりを使ってます。
http://www.slik.co.jp/compact-series/4906752214817.html
これだと、もしも三脚が倒れたときもダメージは少なめですし、E-620+標準レンズor魚眼レンズぐらいの重さなら、まぁ、許容範囲かと。
ただし、ファインダーを覗くのは困難なのでバリアングルモニタが前提になります。50-200mmとか持っていく場合は、もう少しちゃんとした三脚が欲しいですね。
この三脚で撮ったのは、

とか

とかですね。上を向けるなら問題ないです。

レリーズ

オリンパス純正は、ちょっと高いです。互換品は、作りは安いですが最初に飼うならまぁいいんじゃないかと思います。
バルブ撮影や、連写を考えると、必ずシャッターボタンをロックできるものを買ってください。

フィルター

夜景などで強い光が画面に入るとゴーストが出ることもあるので、基本的には外したほうが良いです。ただ、レンズ保護とかを考えて外さない手もあるとは思います。

オリンパス機で天体写真(星の撮影)を撮る(5) 撮影時のお勧め設定

撮影はRAW

後で補正をかけることも多いので、基本的にRAWで撮影してください。RAW+JPEGでも良いです。

撮影時のモードはM(マニュアル)

オートフォーカスのモードは、MFですが、撮影時のモードもマニュアルです。ISOもオート設定ではなく、手動で設定してください。基本的に星の撮影では、カメラ側の露出決定はほとんど役に立ちません。何枚か試し撮りをして露出を決定してください。

長秒時ノイズ低減はAUTOかON

撮影した時間と同じ時間だけシャッターを閉じた状態で撮像素子のノイズを撮影して、自動的にそのノイズを撮影した画像から減算します。ISOをあげて長時間撮影するとノイズが目立つようになるので、こういった処理が必要になります。この方法の欠点は、撮影時間が2倍かかることです。なので、後で明合成して星の軌跡を写すような撮影には向きませんが、カメラ内の設定だけでノイズを減らせるので非常にお手軽です。

長秒時ノイズ低減をOFFにする場合も

後で比較明合成する場合には、星の軌跡が途切れるので長秒時ノイズ低減をOFFにしてください。ただ、カメラを連写設定にすると、自動的に長秒時ノイズ低減がOFFになるので、それを利用するのも良いでしょう。また、長秒時ノイズ低減をOFFで、撮影した場合は、撮影後現像時に後でダーク補正を行うなどすることがあります。私は基本的には、長秒時ノイズ低減をOFFにして、RAW現像時にダーク補正しています。

手ブレ補正はOFF

基本的には、手ブレ補正はOFFにします。月の撮影など、シャッター速度が1sを以下の場合を除いて、手ブレ補正をOFFにしないと逆にぶれます。また、電力消費も大きくなるので、OFFが基本です。

モニターの明るさは最低にします。

モニターの明るさ調整が可能な機種では、モニターの明るさは最低にします。基本的にモニター画面は夜だととても明るいので、明るいうちにモニターの明るさを最低にしておくことをお勧めします。

レンズリセットはOFF

撮影中に電源ON/OFFをすることはありませんが、私はOFFにしています。

ISO設定は試行錯誤してください

ISO設定をあげるとノイズが増えるので、事前に何ショットか撮影して許容できそうなISOとノイズの設定を探ってみてください。私の場合ノイズ処理しない場合はISO200〜500ぐらい。ノイズ処理を前提とする場合は800〜1250あたりまで使用します。ただ、このあたりはシャッター速度とF値によっても変るので、いろいろ試行錯誤してください。

絞り値は開放あるいは、1/3〜2/3絞りぐらい

これはレンズによっても違うと思うのですが、基本的にフォーサーズのレンズは開放から良く写るので、あまり絞らず、開放周辺で使用したがよさそうです。たまに、レンズによっては収差の影響で絞ったほうが暗い星まで写ることもあるので、やはり試し撮りで、そのレンズの特性をつかんでおいてください。基本は開放だと思います。

試し撮りは、ISO1600/ISO3200で明るさと構図の確認

試し撮りは、そのカメラにある最大のISO数値で撮影して構図と、明るさの確認を行ってください。そのときは、長秒時設定はOFFにしておいたほうが、早く撮れて便利です。あとは、目標の感度とF値に設定して、理想の明るさになるように、秒数を決定してください。

コントラスト +2で、VIVID、諧調は標準

もちろんこのあたりの設定は、各人の好みだと思いますが、暗部のノイズが目立つことがあるので、それをつぶすためにコントラストを+2にすると良い感じかと思います。VIVIDもコントラストを高めるために設定します。諧調もオートにしてしまうと暗部ノイズが目立つので、標準をお勧めします。

ホワイトバランスはRAW現像時に調整

ホワイトバランスはRAW撮影しているので、現像時に決定してください。星野写真であれば、風景にあわせる。無難なのは、5300k(晴天時)、または、3000kとかにして、空を青っぽくするのも雰囲気があって良いかもしれません。


種子島にて 8mm FishEye ISO500 60sで撮影 YIMGでダーク補正して現像後、12枚を明合成

オリンパス機で天体写真(星の撮影)を撮る(4) 構図、何を撮る?

ピントあわせが完了したら、後は撮るだけです。
好きなものを撮ってください(ぉ

ですが都会では、空が明るいこともあり、何を撮るかは意外と難しいです。
比較的お勧めなのは、

  1. 広角レンズで星野写真にする。露出は、地上にあわせて、星は比較明合成にて合成
  2. 夕暮れ後30〜1時間の間に撮影する。空が青い色になり、綺麗です。

あと、50-200mmの望遠端では、木星の衛星も写せます。始めてみると結構感動するかも?


オリオン座を撮影 星を大きくして星座の形が分かりやすいようにするために、数枚を明合成後、トリミング

オリンパス機で天体写真(星の撮影)を撮る(3) 拡大ライブビューを使ってピントあわせ

拡大ライブビューを使ってピントあわせ(E-410以降の機種のみ)

AFを利用して、大体ピントを合わせたら、今度は、ピント合わせのモードをMFに切り替えましょう。撮影時も、MFのままです。このとき、三脚にすえつけて、再度明るい星にカメラを向けます。星はできるだけ視野の真ん中に入るようにしたほうが良いでしょう。そして次の手順でさらにピントを追い込みます。

  1. ライブビューに切り替え
  2. INFOボタンを押して緑の枠*1を出す。
  3. 上下左右ボタンで、緑の枠をピント合わせに使いたい星の部分に移動させる
  4. OKボタンを押して拡大ライブビューのモードに切り替える*2
  5. 拡大した状態で、MFでピント合わせを行う。

詳しい操作は、http://kassy2009.seesaa.net/article/114989963.html のページがお勧めです。
E-P1だと、MFアシストも便利かと思います。http://kassy2009.seesaa.net/article/124565407.html

ライブビューの切り替えは、ライブビュー切り替えのボタンを押すだけです。星を狙っているのでレンズは上へ、液晶画面は下を向いていると思うので、E-3/E-30/E-620のようなバリアングル液晶のある機種の方が楽です。
INFOボタンを押して、緑の枠を出します。E-620/E-30では、ライブビュー時に画面に表示するアイテムをOFFにできる機能があるので、その機能でOFFになっていると、緑の枠は出ませんので、緑の枠が出るように設定を変更してください。
拡大した画面で、MFでピント合わせを行う際には、星の像ができるだけ小さくなるように操作してください。2〜3回繰り返すと、どのあたりが、一番良いか分かると思います。
また、この状態だと、あまり明るい星(惑星)だと、ベストのピントが探りにくいのでライブビューで見えるちょっと暗い星のほうが、ピントはつかみやすいです。

ここで、いい加減なピントあわせだと、暗い星までちゃんと写らないので、ピントはきちんとあわせましょう。

もしも、三脚を使わない場合は、E-510/E-520/E-3/E-30ではISボタンを、押し続けると一定時間、手ブレ補正が効くので、多少ピントがあわせやすいとは思います。


E-620 12-60mm 26mm F3.4 8s ISO200で撮影、AF後、ライブビューでピントあわせ

*1:拡大ライブビューの枠

*2:このとき絞りやシャッター速度の設定に関係なく、自動的に増感されるらしく、ノイズが凄いですが無視してください

オリンパス機で天体写真(星の撮影)を撮る(2) AF(とMF)でピントあわせ

ピント合わせは、基本的に

  1. S-AFで大体ピントを合わせる
  2. ライブビューで厳密にピントを合わせる

の2段階で行います。

S-AFで星にピントあわせ(無限遠にあわせる)

星を撮るときに、最初に困るのがピント合わせでしょう。実は総ての機種*1でS-AFでピントあわせが可能です。ただし条件として

  1. できるだけ明るい星を狙う
  2. 中央一点AFを使う
  3. 焦点距離50mm以上のレンズを使う

 どのくらい明るい星まで良いかというと、経験上は都会でもらくらく見える一等星以上の星ならピントが合うと思います。特に明るい惑星(木星)などは最適です。月なども良いかもしれません。
 中央一点AFを使う理由は、一番性能が良いからです。E-300E-520までのAFユニットだと、中央のみクロスセンサーなので左右のAFフレームより、多少性能が良いです。また、狙いやすいですね。
 焦点距離は、経験上50mm以上のレンズだとAFで、ピントを合わせることが十分可能です。キットレンズ*2のテレ端42mmでも合わないことはないです。何度か繰り返してみてください。このときは300mm以上の長焦点のレンズで無い限り、手持ちで狙うほうがやりやすいと思います。

S-AFで遠方の光源を利用してピントあわせ

明るい星が無い。使用しようと思う焦点距離が短いなどの理由で、星でのピントあわせができない場合は、遠方の光源でピントを合わせてください。8mm FishEyeなど焦点距離が短い場合は、10mぐらい先の街灯でもokです。

MFでピントあわせ

どうしても、AFでピントが合わない。慣れるとMFの方が簡単といった理由で、MFでピント合わせする手も有ります。特に、12-60mmなどは、ピントリングを無限遠方向に回しきったときに、ほぼ無限遠になるので、大体のピント合わせとしては、それでokです。
基本的には、ピントリングを無限遠方向に回しきってから、少し戻すと無限遠なのですが、ファインダーで光源が大体一番小さく見える程度にあわせればokです。正確なピントはライブビューで合わせるので問題無しです。
慣れるとMFのほうが簡単かもしれません。


E-620 50mm F2.0 MACROでビルの上の星にAFでピントあわせして、手持ちで撮影*3

*1:所有していないのでE-1/E-330では未確認

*2:14-42mm

*3:ビルの上に星が写ってます。ホットピクセルではありません(汗